流鳥物語〜ぼくの旅〜参考文献リスト及びあとがき

参考文献

ペンギンガイドブックペンギンガイドブック
藤原 幸一
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参考サイト

NATURE's PLANET MUSEUM
(参考文献「ペンギンガイドブック」著者藤原幸一さんのサイト)

あとがき

 以前から、ペンギンという生物が好きでした。ペンギンに関してはあまり詳しくはありませんが、参考文献がとても優れていて、そして楽しくて、何度も読み返したお陰で少しは詳しくなれたようです。
 このお話を書くきっかけになったのは、参考文献の23頁に載っているアルビノのペンギンでした。それから、それまで興味を持って独学で学んでいた、地球環境・温暖化抑止・環境破壊防止の勉強の成果を作品に盛り込む形で、大体の構想が出来上がりました。この旅程は、主人公である「ぼく」のペンギンの種類を考えれば、到底ありえないことでありますが、ファンタジーということで許して頂ければと思っております。
 全体の構成を考えた時点で、本当は全種類のペンギンカレンダー(これもまた参考文献の158〜159頁に掲載。コロニーへの帰還、繁殖、巣立ち、換羽などについてのスケジュールノート)を確認してある程度の日程を考えようかとも思いましたが、旅行の距離をペンギンの移動速度で計算したり、そのスケジュール調整をしたりするのは流石に大変だろうとあえて考えるのを放棄しました。キングペンギンが三年に二回という不規則な繁殖の仕方をしたり、温かい地方のペンギンが年に数回繁殖することもあるというデータを見たせいもあります。これについては他の本も読んだはずですが、詳細を忘れたので、どの本かは特定出来ません。

 現在、地球上には六属十八種類のペンギンが生息しています。残念ながらその多くは、現在絶滅危惧種・危急種などになっています。そして哀しいことに、彼らペンギンが現在絶滅の危機に瀕している背景には、人類が数多く関与しています。大航海時代以降、多くのペンギンが狩猟の対象となりました。人類による捕獲(卵・雛・親鳥)だけでなく、人類が持ち込んだ生物(猫、鼠、犬、フェレット、テン、ニュージーランドウェッカなど)による捕食で、卵や雛はおろか、親鳥までもが生存を脅かされています。大航海時代の記録には、ロックホッパーペンギンが大量に捕獲され、干肉にされたが干し方が甘く、蛆虫が発生して結局その干し肉を大量処分せざるを得なくなったという記事もありました。当時は、航海中に食糧が尽きると現地で確保するのが当然のこととなっていたせいもあります。ロイヤルペンギンもまた、ペンギンオイルを採るために大量に釜茹でにされたこともあったようです。また、現代では、人類が持ち込んだ生物に付着していたウイルスに感染・蔓延して、大量のペンギンが命を落としたケースもあります。タンカー座礁などによって生じた油流出事故による海洋汚染、人類の漁業との競合による餌不足なども、多くのペンギンの命を奪っています。ペンギンたちに及ぶ被害はそれだけには留まりません。人類による開発がもとで、故郷であった森を奪われたペンギンもいます。本作品中に「失われた森の住人」として登場するイエローアイドペンギンがそれです。話の展開上あまり細かい話にすることが出来ませんでしたが、他にも多くの迷惑を蒙っているペンギンがいます。卵の乱獲もさる事ながら、ロードキルによる死亡も多く確認されているようです。
(注:ロードキルとは、動物が道路上で車に轢かれる現象をさします。標識や照明・建築物・道路構造物などに落ちたり衝突した場合など、道路に起因する野生動物の死傷を全て含めて言う場合もあります。ロードキルの主な発生要因は、野生生物の生息域を分断する道路の建設であり、ロードキルを防ぐための方策として、エコブリッジ、進入防止柵、動物用トンネルなどの設置が挙げられます。また、蛇足ではありますが、風力発電のための風車に、渡り鳥などが激突死するバードストライクは、エコロジーを主眼に据えた資源開発の試みとして導入されながら、その実野生生物に対する深刻な影響が懸念されてもいます。)

 歴史上に名前を残したような人々が、南極に落としていったゴミがもとで、怪我をしたり命を落とすペンギンもいます。勿論、南極探検・南極点到達という事業は人類が誇るべきものだと思います。しかし、その時に「氷雪に埋もれてしまうから」と何気なく落としていったゴミが、今もなお南極には残されています。これには、地球温暖化により氷が消え、腐食することが出来ないゴミが露出したことも原因の一つではあります。例を挙げればきりがありませんが、生態系が狂うことは、大きく考えればそれは人類存亡に関わることでもあります。少しでも環境を良くすることは、未来への道を照らす希望の光をともすことになるのでは、とささやかながらこのお話を作りました。ろうそくの灯火のように細くまたか弱い光ではありますが、一人ひとりが一つずつでも、そして小さくても灯火を灯すことが出来るのなら、その灯は世界をも照らすことが叶うかも知れません。
 なお、最終回の穴に落ちた雛のエピソードは、ドキュメンタリー番組に収録されていたものです。実は、人間が介入するエピソードとして当初別のものを予定していました。現在南極条約などにより本来人類は生態系の出来事に関与してはならないのですが、この方々も見捨ててはおけなかったのだと共感したこと、どちらが実際に起こりうるかということを考慮した結果、こちらを使わせて頂くことにしました。条約に違反する内容であるので、その番組名については「忘れた」ということで明記致しません(笑)
 また途中、更新が滞ってしまったりもしましたが、根気強くお待ち下さいまして、拙作をお読み下さいまして、ありがとうございました。頂いたご感想・コメントにはとても励まされました。連載中、少々個人的な出来事でストレスを感じることもあったのですが、完結出来たのは来て下さった、そして読んで下さった皆様のお陰です。深く感謝しお礼の言葉を申し上げたく存じます。ありがとうございました。

 最後になりましたが、本作品連載中Abounding Grace管理人BUTAPENN様から、BUTAPENN様ご自身が主催されますオンライン創作のイベントペンギンフェスタへの協賛についてリンクのお申し出を頂戴し、協賛させて頂くことになりました。期間中に出来ればこの「流鳥物語」からのスピンオフを参加作品として改めて出したいと思っております。広告活動なしで細々とやっている拙サイトにお越し頂くだけでも有難いことですが、拙い作品を、そして必死に書こうと思った部分を評価して頂けたことに、書いて良かったと改めて思いました。BUTAPENN様、高い評価をありがとうございました。ここに慎んでお礼を申し上げます。

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2007/05/27 篁頼征 拝